新たな資本主義

なんだか似た名前を聞いたことがあるかと思います。もちろん岸田首相がキーワードとしている[新しい資本主義]の事です。

呼び方はなんであれ、意味合いの起源がなんとなくイメージされる方が多いと思います。

株主の利益を最大限追い求める『株主資本主義』を希求することこそ資本主義の本筋であり、社会の最大の発展に寄与するという考え方が各国でブーム?になってきました。その中では、非正規労働者が生まれ賃金の実質的切り下げや解雇、権利や生活保障の剥奪が横行してきました。

これは、1997年に米国経団連とも言えるBRT(ビジネスラウンドテーブル)が、企業目的を(株主に報いること)と宣言しているのと無関係ではない。BRTは、米国の大企業の経営の団体であり日本の経団連等にも多大な影響力を持つ。

しかし、この流れは、企業が株主への利益還元を優先し社会への多大な疲弊をもたらした。リーマンショックや環境破壊、労働者の疲弊や格差の拡大、そしてボーイング機の度重なる墜落などに象徴される社会的不利益を企業が引き起こす事等が多発し社会の機能不全を招いた。

その反省から、BRTは、企業目的の再定義を迫られることになった。

2019年のパーパス文書。[全ての米国民に尽くす事]と再定義した。

しかし、経営者達はこの経済格差や環境破壊、社会機能不全に反省し行動を変化させてきたか?答えはNOであった。

株主利益還元最優先から『ステークホルダーに配慮したあらたな資本主義』と変化したというのが、そのキーワードであった。ステークホルダー、つまり顧客や労働者、取引先や地球環境など(利害関係者)重視という考え方。

株主は、会社それ自体が壊れかねない状況に至ってもまだ利益追求をやめない。そんな限界点からの転換として出てきたのが全てのステークホルダー重視という考え方。

地球環境というステークホルダーの保護に取り組むこと、労働者の賃金上昇。社会貢献などの重視を謳い文句とした流れに変わりつつあるように見えます。

ESG投資など、みなさんも身近な話題として出てきているかと思います。

社会的背信行為には、毅然として企業は断絶するなどコーポレートガーバナンス企業統治が上場企業には求められるようになっています。

しかし、基本的に株主還元を最大化することを企業はやめていない。また、株価連動の経営者報酬方式は変わらず巨額の報酬が支払われる方式は見直されていない。高額所得者への累進課税は小泉自民党が廃止したまま岸田首相も見直しの検討すらしていない。また、社会的弱者に対する企業の社会的貢献責任は強化されていない。

求められる最大の利害関係者である労働者への配慮なしに新たな資本主義は絵に描いた餅でしかない。

朝日新聞記者の江渕崇さんは、紙面でこのように展開されていました。

私もそう思います。

株主利益追求に邁進し墜落事故を連発させたボーイング社。刑事責任を調査していた米国司法省はボーイング社と和解した。280億の支払いで刑事訴追を免れた。この和解を主導した連邦検事は、和解翌日に退職。後日ボーイング側の代理人だった大手法律事務所にパートナーとして迎えられる。株主からの経営陣への訴訟は、21年11月2億ドル強で和解。しかし、役員賠償責任保険から支払われた。経営陣が過ちを認めたわけではない。(朝日新聞より一部抜粋加筆)

 

岸田首相の新しい資本主義の本質はなんなのか?よくわからない説明で私達は乗せられて、また踊らされていないか?

私達、今を生きる市民が目を見開き考え口を開き議論していく事が民主主義をささえる基本の一歩ではないか?そう思えて仕方ない。

今日、1月29日米子市文化ホールで14時から島根原発再稼働について住民投票を求め市民団体が武田さんの講演会を企画。署名は既に法定数を超えて提出済み。しかし、伊木米子市長は、民意の反映にそぐわない等の理由で反対している。賛成反対の議論すらしないという。直接民主主義に取り組むこの投票条例の議論すらしようとせず、代表議員で議会が決める事が最善という論調に、民主主義がなんなのか再考を求めずにはいられない。

コロナ禍の渦中。

ズームで視聴参加することができます。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUuceGhqzIuHdDYqBTlpusEouRhdXHFnpEe