BS1スペシャル「コロナ新時代への提言3 それでも、生きてゆける社会へ」

今日11月7日、午前9時から放送された番組です。
現在のコロナ禍の状況と、憂うべき地球環境の破壊されていく状況を三人の論客が多様な切り口から論じています。ミヒャエルエンデの モモを共通の切り口にして語っています。
みなさんは、ミヒャエルエンデのモモを読んだことがありますか?そう、時間泥棒のおはなしです。子供向けの物語でありながら、経済原理を擬人化して人生の幸福とは何か をはじめとして現代の私たちの生活すら描き出しています。20代で読んだあの物語を今また読み返す価値があるとこの番組を視て思えます。私たちは、サラリーマンとして労働力を時間単位で切り売りすることでしか生活する糧を持たない訳で。生活するのに必要以上の価値を労働力の時間単位での切り売りをしています。しかし、実は労働することで作った価値は私たち労働者はすべて受け取っておらず、資本家に搾取されています。これがモモに出てくる時間泥棒の正体です。さらに、私たちは消費者としてその生産された消費財を物質的豊かさとして自分が売り渡した労働力の対価 つまり賃金で買うことで生活しています。しかし、過剰に物質的欲望を掻き立てられ地球資源を浪費したり破壊してきた訳です。地球が、この破壊を圧倒的な自然体系の中でカバーしてきた。地層学的には最新の地層の上に新たな時代=人が自然の回復力以上に破壊を始めた時代を人新生 ひとしんせい と呼び新たな時代に入ったと定義している。つまり、地球が人間の活動により自然体系がもはや回復できないレベルまでの破壊を始めている。温暖化やコロナ禍も気候変動の極大化も同じ原因だといえる。それはまさに資本主義 先程の限りなき拡大再生産による資本主義な利益追求が原因だ。論客のひとり斉藤氏は、言うまでもなくこの人新生の資本論の作者であり、貧富の格差拡大が必然である資本主義の破綻期にあると語っている。論理的にわかりやすく納得できる内容であった。
また、独立研究者の山口氏と医療人類学者の磯野氏も多様な切り口でミヒャエルエンデのモモを通じて現在の社会の病理をわかりやすく語っていた。
新しく首相となった岸田首相は、あたかも全ての問題を新しい資本主義?が解決する。聞く耳を持つと。拡大と分配により日本を再び以前の豊かさを取り戻すと。
しかし、コロナ禍も今後予想される激しい気候変動による私たちの生活環境破壊は、新しい資本主義?などでは解決しない。まさしく資本主義的価値観こそが、拡大再生産こそが原因であり、私たちは、パラダイムシフトをすることが必要なのだと。斉藤氏は、高原社会 つまり物質的豊かさは満たされ、その上の拡大ではなく資本からの搾取ではなく社会的に資本からの徴収と再分配を行う事無しに生活の維持はあり得ないと。更に、際限なき欲望を掻き立て消費することで利益の拡大を図るという資本主義の論理しかないと私たちは思わされている。しかし、拡大しない物質的豊かさではない豊かさという価値を得る つまり共生社会への移行をコロナ禍以降にパラダイムチェンジする必要がある  というような話になっていました。
非常にわかりやすく、納得いく話で論理的なお話に感銘と共感を得ました。

実は、物資的豊かさを追求することを捨て去り 他方、自分の時間を取り戻し豊かさの概念を私は今既に変えつつあり、共感することができたのだと思います。
ぜひ、この番組や三氏のお話を聞いてみてください。

BS1スペシャル「コロナ新時代への提言3 それでも、生きてゆける社会へ」[字][再]

コロナ後の世界の指針を語る大反響シリーズ第3弾。著作が注目を集める3人の識者、独立研究者・山口周、経済思想家・斎藤幸平、医療人類学者・磯野真穂が描く未来とは?

11月7日 日曜 9:00 -9:50 NHKBS1

「ビジネスは歴史的使命を終えた」と語る独立研究者・山口周。持続可能な脱成長を説いた著書『人新世の「資本論」』が話題の経済思想家・斎藤幸平。医療従事者や患者への丹念な調査から「人間とは何か」を問う医療人類学者・磯野真穂。コロナ禍を受け、彼らは一冊の本を手に取った。ミヒャエル・エンデの児童文学『モモ』。現代社会を鋭く批評したこの作品をヒントに人類が向かうべき未来、誰もが生きるに値する社会について語る。

出演者
【出演】独立研究者…山口周,経済思想家…斎藤幸平,医療人類学者…磯野真穂,【語り】遊佐未森

遊佐未森

斎藤幸平