22.10.3岸田首相所信表明演説

もう既に皆さんもお聞きになられたことかと思いますが、岸田首相は、所信表明演説を3日に行いました。

端的に具体策に欠ける概略を発言しています。所信表明なのでそれでも構わないと思いますが、1年前の首相になった時の所信表明演説も概略やキーワードでの演説のまま具体策が示されぬまま今に至っています。代表例は[新しい資本主義]。

未だに何だかわからないキーワードで、沢山の大学教授たちが、なんだかわからない!と発言してきました。

所得格差の拡大が資本主義の発展を阻害する..というテーゼをピケティが論文にし世界の人々に大きな波紋を広げました。これに少し乗っかって、高額所得者への課税強化と、日本の低所得者層への経済的テコ入れをすることで、再び中間層を形成し再度日本経済を成長軌道に乗せる事などを意味していたのではないかと思います。

日本は、G7で唯一の低下した国であり、2020年には韓国にも抜かれて低下著しい国となっています。

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いろいろな分析がされてきましたが、原因として正規雇用の減少と派遣社員の増加が大きく寄与しているとも言われています。

そこで、小泉、安倍路線からの独自性を出してこのキーワードになってきたのでは?と思いましたが、この1年で何ら格差是正の方策は取られず、更に格差拡大となりました。もちろん高額所得者の課税強化は立ち消えとなり、聞こえのいい最低賃金の引き上げが行われました。

この1年を振り返って急激な物価上昇、見合わない賃金水準。また、労働法制の改悪が行われてきました。労働市場の流動化促進策として以前にも書きましたが、ジョブ型雇用の制度化です。日立グループの経営陣が躍起になって実践しているジョブ型雇用により、特定の業務でのみ採用され他の業務への転籍は無く解雇となる雇用です。企業内での業績の低下により業務量が低下すれば解雇される可能性があり労働者の流動化は促進される…つまり就業の不安定さが生まれる雇用形態がすでに制度化されました。

経団連のの役員も兼務している日立の経営陣から実践されており、他業種、他企業へも今後拡大していく可能性があります。

こんな中の所信表明演説は、❶物価高、円安への対応❷構造的賃上げ❸成長の為の投資と改革などが主題となっています。

聞こえのいい大型経済対策として30兆円規模の経済対策を自民党内部から実施を求められており、成長路線へのDX  GX  スタートアップ支援などへの財政出動を意図しているようです。

10月3日の日銀短観では、現在のところ経済状況は安定しており急務とは言えず、1000兆円を上回る国債の更なる上乗せを図るのはかなり疑問と思われます。

また、中国、北朝鮮、ロシアをめぐる情勢から防衛費の大幅な増額を公言しています。その財源は未だ不明ですが、国債の更なる大幅積み増しや国民への負担増以外に考えられません。

他方、所得格差について5月に岸田首相は、ロンドンの金融街シティで[資産所得倍増プラン]を発表しています。(家計の預金が投資にも向かい持続的な企業価値向上の恩恵が家計にも及ぶ好循環をつくっていく必要がある)と話しています。

また、円安に関してインバウンドを含む円安メリットを活かしていくと発言しています。

 

これらの話しは、まさに経済学のお話しで私たちの今後の生活に直結するお話しです。

大学で経済学を学んだ方ならすぐにおわかりだと思いますが、

円安について、多くの経済学者が指摘している通り、インバウンドによる内需を拡大させることは確かに経済活性策であるが、生活必需品などの高騰する中インバウンドの恩恵を中低所得者層が受ける前に多くの国民が貧困に突入する。

また、一番問題なのは、円安メリットを話した為に政府が円安を肯定していると世界市場から見られる。現に10月7日1ドル145円を突破している。

輸出企業にとって一時的にメリットがあるが、生産の分散化が進んでいる為に長期的効果は少ない。

また、一番問題なのは、生産性向上を図り日本としての技術水準の向上に寄与しないばかりか、生産生産性の向上に寄与せず、長期的に賃金水準の上昇に寄与しない。

円安の原因が、安倍政権下アベノミクスという名の金融緩和策により日本企業は、投資環境にあぐらをかき生産性向上や技術革新しなかった事。更に新規産業や原発に寄らないエネルギー政策などへの政策を行わずに来たこと。財政健全化を目指さず赤字国債を大量に積み上げ日銀に背負わせた事による  これらの原因を解決に向かわせる事なく私たちの生活は安全暮らしていく事はできない。

価値の源泉は私たちの労働にあり、その生産性の向上と付加価値の追求。そして技術革新。環境負荷からの脱却無し未来はない。

安倍元首相と日銀の黒田総裁がやってきたアベノミクスという名の金融政策は、日本企業の力を削ぎ内部留保を溜め込ませたが、私たち多くの国民の生活を窮地に陥し入れる政策であった。

デフレからの脱却の為、金融緩和策をとる!これはまさしく逆だ!東短リサーチの加藤出氏が力説されていた。因果関係は逆だと。デフレは、政策の失敗による結果であった。日本経済の構造的問題を解決すること無しに円安と財政危機を抜け出す事はできない。

最後に、岸田首相の所信表明演説の様な支持率上げたい小手先のイメージワードを並べただけでは解決出来ない。野党も言葉尻の批判では日本経済や私たちの生活は守れない。大学で経済政策を研究しているではないか!上述の内容など自明の理であって問題点は明白だ。政策決定に国会で学術的論戦を戦わせ、私たちの生活を守るにはどういう政策が必要かきちんと話し合うべきだと思う。

自民党の二階や河野や細田、そして岸田首相らの顔や態度を見て、全くその意図は汲み取れない。