西成高校

みなさんは、西成高校をご存知でしょうか?大阪市西成区にある西成高校。

西成区と言えば、思い浮かぶのは西日本最大の日雇い労働者の街 釜ヶ崎。路上生活者が溢れ、空き地には木切れを焼き暖をとる風景がありました。田舎者の僕には、本当にこれも日本なのか?と信じられない風景でした。路地や公園には段ボール箱に寝る人が溢れ、身なりも薄汚れ髪の毛もねばついている。昼間からお酒を飲む人が公園で虚ろな目をしていました。高校生のときに訪ねた僕は、この景色が日本にある事に驚愕したものです。

また、近くには飛田新地があります。飛田新地は、西日本最大の遊郭が現在まで残り人間の尊厳を根こそぎ切り取るシステムが現存しています。

その西成にある西成高校は、以前教育困難校だったそうです。まったくその存在すら知らなかったのですが、釜ヶ崎を知る人なら容易に想像できる状況かと思います。

釜ヶ崎解放会館の周りには、日雇い労働者が集まりその日の仕事を求め、また労働者を集める為に手配師がバンに人を乗せて行く状況が早朝から見られていました。

釜日労 かまにちろう=釜ヶ崎日雇い労働者組合の方々と共に東京まで行ったことがありました。

本当に日本の資本主義の最も激烈な側面が見える場所でした。労働者を使い捨てにし社会の変化や労働力の供給調整弁として最も激烈で顕著にその非人間性を剥き出しにしている場所です。

その西成高校は、家庭の貧困が貧困を招き抜け出す事ができない困難性を具現化した状況だったようです。現校長先生が赴任された2006年当時は、そんな状況で学生達は何も明日に期待を持って生きていけないような環境に生きていたようです。

そこから赴任された先生達が家庭環境を家庭訪問して状況を確認し教師としての無力感を感じたようです。

学生達に先生達が取り組んだのが 反貧困学習  いかにして生きていくのかを教えていき制度活用や実際の生活支援をされていったとのことです。

まったく希望も学校の意味も見出せず、退学していく学生がたくさんいた西成高校は、その先生達の誠心誠意の教育や生活支援で学生達は変わっていったそうです。

反貧困学習  日本の福祉制度は申請主義です。制度はあっても申請しなければ支援を受けられない。その申請支援や自分の置かれた環境からの脱却のサポートなど誠心誠意取り組まれた先生達に支えられ学生達は希望を見つけたようです。

 

これは、大阪の貧困が激烈に牙を剥く西成だけの話ではないと感じています。

高齢者支援に関わる中でも貧困が貧困を招き抜け出す事が難しくなる現実が身近にあります。コロナ禍の中、派遣労働で生活せざるを得ない人や契約社員として雇用調整を真っ先に受けてしまうのが現実です。資本主義社会で無制限に拡大再生産を希求する社会では、世界的グローバリズムによりコロナ禍は世界的な動きに連動しました。

環境変化 破壊は、後戻りできないところに来ていると思います。グレタさんの必死の訴えをアフターコロナには新しい社会を作っていく必要があると思います。西成高校の学生達が希望を持って社会に出て行くように支援する先生達の献身的な活動に心温まる思いと共に、漫然と以前の社会への回帰に走ろうとして、GO TOで自己利益に走る二階や菅首相のような政治家に任せておいてはいけないと思いました。